幕間

41話でhgcさんとエンカウントする前にこんなやりとりがあったら可愛いなと思ったらいつの間にか書いていた

「あの、国木田さん…」
少し離れた場所で聞き込みをしていた敦が何やら小声で話し乍ら俺の元に戻ってきた。
件の黒髪の撫子を見つけたのだろうか。しかしわざわざ小声で言う内容でもなさそうだが…。訝しみつつ何事かと問うた。
「どうした」
「そこの2階テラスにポートマフィアの樋口さんが居るんですが…何やってるんでしょう」
 敦の報告に一瞬だけ眉を顰め、その方角にちらと視線を向けた。
だが俺にはその人物を視認することは出来なかった。それは敦の虎眼が人並み外れているだけで、断じて己の視力が悪いからではない。
「…分かった。俺が先に死角を狙って近づく。お前は聞き込みを続けて、頃合いを見て後から来い…そうだな、あの時計で5分後だ」
 背の高い支柱の丸い時計と己が身につけている腕時計と見比べ、時間がずれていないかを確かめた上で指示を出す。
敦は神妙な顔をして軽く頷いた。
「分かりました、気をつけて」
 その返事に俺も黙って頷き、敦の言う方向へ歩き出した。
ポートマフィアとの接触および戦闘を避けるように社長からの通達があったのが、組合との戦闘を満身創痍で終えた次の日だ。
おそらく向こうも同様の通達を受けているはず。それから一週間も経っていない。だのにこんなところまで監視とは、ポートマフィアも暇なことだ。
 敦には5分後と云ったが、事と次第によっては己だけでどうにかせねばなるまい。
否、社長の命令を蔑ろにするわけではない、派手にドンパチするだけなら度胸のあるものなら誰でもできるのだ。特にその筋の者は。
そうならないようにするのも探偵社の一遇であるなら容易くできなければならない。
 平日にもかかわらず、街中は賑わっている。人混みを隠れ蓑にしながら視界に捉えられることのないように近づく。
だんだん小柄のシルエットが見え、なるほど敦の言う通りポートマフィアの樋口が双眼鏡を構えて何かを探している。
というよりも見ているのは明らかに敦が居る方向だ。そちらへ熱心に視線を送っているおかげで、俺には全く気づいていない。
素早くテラスへの階段を昇り、背後を捉えるのは数秒だった。
ここまで隙だらけなのはポートマフィアとしてどうなんだ、という問いが頭をよぎったがこちらも暇ではない。
花袋の依頼ーー黒髪の撫子探しーーを終えねば、本来の依頼がこなすことはできないのだ。
そうこうしていると樋口は何かに気づいたようで、双眼鏡から目を離し何事かを考えている風だ。そろそろかーー。
こちらに気づく前に先手を打つ。
「俺達に何か用か?」

end.